【秋に多い慢性的な咳】その原因と対処法を解説|気温差・乾燥・秋花粉・睡眠時無呼吸症候群も関係?

糖尿病内科・循環器内科のクリニックです
はじめに|「咳が止まらない」その原因、秋に多くありませんか?
「風邪は治ったのに咳だけが続く…」
「夜中や朝方に咳き込んで目が覚める…」
このような経験はありませんか?
秋は、気温の変化や乾燥、花粉の影響で「慢性的な咳」を訴える人が増える季節です。
さらに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など意外な疾患が原因になっていることもあります。
この記事では、
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秋に咳が長引く理由
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話題の咳過敏症候群(CHS)
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見落とされがちな睡眠時無呼吸症候群(SAS)
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咳を和らげる対処法
について、詳しく解説します。
慢性的な咳とは?風邪とは違うの?
通常の風邪による咳は1〜2週間で治まりますが、それ以上続く咳は「慢性咳嗽(まんせいがいそう)」と呼ばれ、次のような病気が関与していることがあります。
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咳喘息
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後鼻漏(副鼻腔炎など)
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胃食道逆流症(GERD)
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アレルギー性鼻炎(花粉)
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咳過敏症候群(CHS)
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)
秋に咳が増える背景には、環境変化と隠れた疾患の両面があります。
秋に咳が続きやすい3つの環境要因
1. 気温・気圧の変化
秋は一日の寒暖差が激しく、自律神経が乱れやすい季節です。
この乱れが気道の過敏性を高め、咳が出やすくなる原因になります。
2. 秋花粉(ブタクサ・ヨモギなど)
秋にもアレルギーの原因となる花粉が飛散しています。
鼻炎や目のかゆみだけでなく、アレルギー性の咳を引き起こすこともあります。
3. 空気の乾燥
秋から冬にかけて空気が乾燥し、のどや気道の粘膜が乾いて傷つきやすくなります。
乾燥による「空咳・イガイガ感」は、咳を長引かせる一因です。
咳過敏症候群(CHS)とは?
咳過敏症候群(Cough Hypersensitivity Syndrome)は、近年注目されている慢性咳の新しい概念です。
咳のセンサーが過敏になってしまい、低レベルの刺激(気温差、乾燥、におい、会話など)で咳が止まらなくなります。
特徴:
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咳が8週間以上続く
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風邪が治っても咳だけ残る
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のどがムズムズして咳が出る
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呼吸音(ゼーゼーなど喘鳴)はない
通常の咳止めでは効果が薄く、咳の神経に作用する薬などが必要なこともあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と咳の意外な関係
**睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)**は、睡眠中に呼吸が止まる病気です。
このSASが、慢性的な咳の原因になることがあるとご存知でしょうか?
SASによる咳のメカニズム:
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無呼吸により胸腔内圧が大きく変動し、気道に負担がかかる
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睡眠中の**胃食道逆流(GERD)**が起こりやすく、咳を誘発する
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呼吸が乱れることで、咳中枢が刺激される
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寝ている間の乾燥・口呼吸も咳の原因に
SASが疑われるサイン
原因不明の疲労が続く-
睡眠中のいびき、無呼吸
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起床時の頭痛やだるさ
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夜間の頻尿
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夜中や早朝の咳き込み
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日中の眠気
咳が続くだけでなく、これらの症状に心当たりがある場合は、**専門医でのSAS検査(終夜睡眠ポリグラフ検査など)**が必要です。

夜中や早朝の咳き込み
慢性的な咳への対処法・セルフケア
室内の湿度を保つ
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湿度50〜60%が理想
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加湿器や濡れタオルの活用がおすすめ
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寝室の乾燥対策は特に重要(SAS対策にも有効)
水分をしっかりとる
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喉や気道を潤すことで咳を軽減
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寝る前のコップ1杯の白湯も効果的
花粉・ハウスダスト対策
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空気清浄機の活用
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布団やカーテンのこまめな洗濯
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外出時のマスク着用
就寝時の工夫
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頭を少し高くして寝る(GERD対策)
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寝室を加湿し、口呼吸を避ける
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SASが疑われる場合は検査・治療へ
秋の咳は「気候+隠れ疾患」のサインかも
秋は咳を悪化させる要因がいくつも重なる季節です。
原因 | 内容 |
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気温差 |
自律神経の乱れで気道が過敏に |
乾燥 |
のどや気道の粘膜が刺激されやすくなる |
秋花粉 |
アレルギー性の咳を引き起こす |
咳過敏症候群 |
少しの刺激で咳が止まらなくなる |
睡眠時無呼吸症候群 |
胃酸逆流や乾燥、無呼吸による咳 |
「咳が長引いているけれど、原因がよく分からない」という方は、一度、呼吸器内科や循環器内科の受診をおすすめします。
咳を我慢し続けると、日常生活や睡眠の質が大きく損なわれてしまいます。
当院でも咳外来・SAS検査に対応しています
当院では、慢性的な咳や睡眠時無呼吸症候群に対して、検査・治療を行っています。
「咳が止まらない」「夜中に咳き込んで眠れない」と感じたら、お気軽にご相談ください。
当院は循環器専門医・糖尿病専門医だけではなく、心不全療養指導士・保健師・心臓リハビリテーション指導士が在籍しております。
日常の体調の心配を、どうぞお気軽にご相談ください。
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気管支喘息 https://naika.m-seikei.net/disease/bronchial-asthma/
睡眠時無呼吸 https://naika.m-seikei.net/disease/sleep-apnea-syndrome/
📕参考文献
・https://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/allergy/bronchial_asthma.pdf 成人気管支喘息診療のミニマムエッセンス 日本医師会
・https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf 睡眠時無呼吸症候群の診療ガイドライン2020 一般社団法人日本呼吸器学会